延長放送だっていらない!?

「そうよ、私が殺したのよ」。

そうか、田中美奈子(役名:浅野令子)が犯人だったのか!日本テレビ系ドラマ『金田一少年の事件簿 学園七不思議殺人事件』(1995年4月8日放送)の終盤。手に汗握る展開に、当時13歳の私は録画ビデオに釘付けだった。

で、動機は!?

田中美奈子が自白を始めようとした途端、録画が終了し、砂嵐が巻き起こった。

なぜ!?

ここは“じっちゃんの名にかけて”謎を解かねばと意気込んだ訳だが、何ということもない。同日の巨人戦放送が延長されたため、肝心のドラマのラストシーンが、録画しきれていなかったのである。

あれから10年以上経った。機器は変われど、我が家のテレビ録画は相変わらずVHS。しかも、Gコードにすら対応していない骨董品のような代物である。
今でも好きな番組を録画するときは、前枠を注意深く確認することを怠らない。

ところが、最近では延長放送する試合やプロ野球中継自体が少なくなった。特に関東地区で放送されることの多い巨人戦を軸に考えるとその変化は顕著である。

日本テレビが、巨人戦の一部の放映権をNHKに売却し始めたのが、約6年前。徐々に巨人戦放送の延長時間を短くしていき、ついに延長放送を取りやめたのが約1年前。

その日本テレビ。数字を取れる王子様が見つかれば、たちまち東京六大学野球を放送し出すのだから、恐れ入る。

巨人ファンはもとより、プロ野球ファンは、有料の専門チャンネルを契約しなければ、プロ野球放送を見ることはできない状況だ。視聴率のドル箱であるサッカーW杯なら当たり前のように延長放送はされるだろう。やはり民放テレビ局は、視聴率が全てなのか。

では、視聴率をどこまで取れれば、延長放送は復活するのか。10%、それとも、15%?
もちろん、延長放送自体が、プロ野球ファン向けの対応であり、通常枠番組のファンにとっては不必要なものだという議論もある。

一方、追い討ちをかけるように、人気がある日本人プロ野球選手は次々とメジャーリーグへ移籍している。数字も選手も逃げていく日本のプロ野球

「“政治と宗教とプロ野球”の話はしてはならない」とはよく言ったものだ。

(敬称略)

(注)冒頭の台詞はうろ覚えなことをお詫び申し上げます。正しい台詞をご存知の方、教えてください!