3年勤めた若者より
気付けば、早いもので今日は3月31日。社会人になって、そして、今の会社に勤めて丸3年になる。世間的にいう“辞め頃”だ。新卒者の3割が3年以内に勤めた会社を去る時代である。
イマドキの若者は我慢が足りないからだろうか?年功序列をベースにした成果主義の犠牲になりたくないからだろうか?
これらに加え、私たちの世代は働く上での支軸が定まっていないことが離職率の高さに当てはまると思う。
思い返せば、学生時代に受けた企業という企業に志望動機を尋ねられた。
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(面接官)「当社に応募した理由は何ですか」
――○○がやりたいからです。
(面接官)「どうして」
――△△が好きだからです。
(面接官)「どうして」
――□□だからです。
以下、続く・・・。
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また、自らのキャリアビジョンについても尋ねられる。
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(面接官)「10年後はどうなっていたいですか」
――☆☆となっていたいです
(面接官)「そのために応募した職種でどのようなキャリアを積みたいですか」
――●●と考えています。
以下、続く・・・。
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正直、根掘り葉掘り尋ねられても答えられないこともあるし、言葉にできない想いもある。けれど、面接官は具体的な答えを要求する。いつも理論武装をして面接に臨まなけばならなかった。
ところが、いざ会社に入ってみると、あれだけ志望動機やキャリアビジョンを尋ねられたにもかかわらず、決まったレールが敷かれていた。
組織の枠組みの中で業務を遂行していく中、就職活動期に志望動機をイヤというほど考えたせいか、つい思ってしまう。
――この仕事が自分のやりたいことなのか。
もちろん目先の仕事だけで判断している訳ではない。何にでも下積み時代は必要だ。だが、その組織の中、さらには会社の中で、自分がどのようになっていくのかということを思い描いたときに、ギャップが生じてしまう。
もしかしたら、それは贅沢な悩みなのかもしれない。
“マズローの欲求段階説(注)”に当てはめると、現代の若者の多くが、“自己実現”を目指しているのではないか。
(注)人間の欲求段階を生理的欲求、安全の欲求、親和の欲求、自我の欲求、自己実現の欲求としている。
戦後の日本社会では、衣食住を確保することで精一杯。経済が成長するにつれ、日本全体が豊かになっていくと、個々の集団帰属の欲求が深まり、物欲も増していく。バブルが崩壊し不況に入っても、最低限の生活が確保されている若者は多い。
企業側が採用する際、志望動機を重視するようになったことの影響も大きいが、私たち若者の欲求は自己実現へと向かっている。
自己実現は一番難しい。そもそも自分が本当にやりたいことを見つけられる人間はどれほどいるのだろうか。自分がやりたいことがわかっても、実現させることは更に困難だ。何をすれば自己実現となるかということも、個人の価値観によって異なるし、その時々によって個人が抱く価値観も変わってくる。実に厄介な話である。
さらに、失われた10年を見てきただけに、ただ自己実現を目指すだけでなく、足元の生理的欲求や安全の欲求も満たすことを常に意識している。
マズローの欲求段階説の全ての欲求を満たす会社は存在しないように思う。
ところで、どうして入社後“3年”以内がフォーカスされるのか。
“石の上にも3年”。“3年目の浮気”。中学校も“3年”だ。日本人は、3年で一区切りという感覚があるのだろう。純粋に一つのことをして“飽き”がくるのも3年なのかもしれない。
自分が進むべき道を考え、自問自答の日々に、“3年”という重みがのしかかる。