満員電車はつらいよ

――世の中に無駄なものはない。

こう思えても、どうしても満員電車だけは、無駄に思えて仕方ない。

「勤労者が生涯に電車で過ごす時間 ――2年3カ月」という『週刊東洋経済』2007年2月24日号の中吊り広告を目にしたときは、愕然とした。

この数字は、通勤時間の片道を1時間とし、250日/年×40年で算出したものである。

“会社に行く”のはいいけれど、“満員電車”がイヤだという人は多いのではないか。

人間も含め、動物には、パーソナルエリアというテリトリー意識のようなものが本能的にある。心理学的にも受け入れられている概念上のエリアで、自分を中心として円の空間があり、その境で「自分のエリア」と「外のエリア」とに分けられる。

個人によって、パーソナルエリアの大きさは千差万別だが、乗客が密着せざるを得ない満員電車の中では、誰しもパーソナルエリアに侵入されまくりである。だから不快になるのだ。

そして、そういうときに限って、電車が遅れる。「後続列車が遅れている関係で、この列車も○分遅れております」と車掌さんに言われても、乗っている電車が、山手線のような環状線でなければ、この理由は解せない。
イライラ。

さらに、そういうときに限って、電車が急ブレーキをかける。ハイヒールでは安定が悪いので、ふらついてしまう。人がドミノのように押し寄せてくるときは、勘弁してくれと思う。もちろん、そんなスペースすらなく、サンドイッチのハムのようになるときもあるが。朝ご飯が無事に消化できるか心配になってしまう。
イライライライラ。

国や企業のお偉い方々のほとんどは、通勤ラッシュに遭わず、ご出社されるようなので、対策もなかなか進まない。

満員電車を避けるため早く出社すればいいだろうが、そこまでの気力はない。

今日でゴールデンウィークが終わる。明日から、また、あの拷問に耐えなければならないのか。ふぅ。