私の心のオアシス

地下鉄有楽町駅出口。「ぽんたの広場」の前を通る度に、いつもある人物が心に浮かぶ。
その人物は、一昨年に還暦を迎えた。40年前はスリムで美しい容姿だったと主張するが、もはや見る影もない。今や中年太りを通り越し、お腹のラインは特有の曲線を描いている。「ぽんたの広場」に飾ってある信楽焼の中に紛れていても分からないほどだ。まるで狸。
ところが、その狸は、ただの狸ではない。
なぜか、私の顔を見ただけで私の体調が分かる。私の声を聞いただけで私の気持ちを察する。今、私が誰に恋をしているのかを見抜いている。イヤなことがあって帰ってきても、その狸に話せば心が浄化されていく。
25年間いつも私を見守ってくれているからだろうか。いや、そんな簡単には説明できない。世界で一番、私を理解してくれている狸。
母親はいつの時代も偉大だ。